Interview

リハビリ専門職としての挑戦

理学療法士F.K.

2017年 / 中途入社

訪問看護

Interview

physical therapist

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01

病棟と訪問

訪問リハビリをやりたいというよりは在宅医療や生活を知りたいという気持ちで、地域活動をしている訪問看護ステーション(当社)に転職しました。病院で働いていると、「病院に来る患者さん」しか見えません。患者様ご自身も「病院にいる自分」という一種の仮面を被っていらっしゃるのだと思います。そうなると、実際どういう生活をしているのかはご本人の口からしか聞けませんし、聞き取れる情報には限界がありました。そもそも病院では分単位でめまぐるしく動いていて、生活に深く関わることが難しかったのです。在宅医療の現場に来て、余計にそれを実感しました。暑さ寒さといった環境を調整するやり方にも、その方の生活スタイルや主義、バックボーンが反映されていて、「生活の場にお邪魔する」ことで初めて見えるものがとても多かったのです。生活環境・生活の仕方などの全体を見て、点ではなく面でその方の状態を観察することではじめて、トータルのアプローチを考えることができます。病院にいたときは、患者様の「家で生活する姿」が見えていなかったと心から感じました。
そんな中で、「リハビリテーションとは何なんだろう?」という疑問が出てきたんです。答えはまだ考えている途中ですが、リハビリ職は、できないことをできるようにする職業柄、改善しなければならないところを点で見がちです。リハビリをするご利用者を点ではなく面で見ることを学べただけでも、在宅医療の現場に来てよかったと思っています。

02

訪問看護ステーションにおけるリハビリテーション

リハビリテーションとは? という問いへの答えではないんですが、リハビリはその方の生きがいを支援することを目的にしていると考えています。
では生きがいはどこにあるんだろう? と考えると、病院ではなく生活の場にあると思うのです。
自宅でのリハビリには様々な視点が必要で、ジェネラリストであることが求められます。ですが、いくら対応する幅が広くても浅くては意味がありません。すべての専門性が求められる、究極のリハビリが在宅リハビリだと考えています。訪問看護ステーションからのリハビリは、厚労省の定義にもある通り、「リハビリ職のリハビリ」ではなく「看護師の代わりにリハビリに行く」という位置づけになっています。療養生活を支える看護が根底にあり、リハビリは生活を脅かすものからご利用者を守るひとつの手段です。ご利用者を、生活を脅かすものから守ること。それが訪問リハビリの意義だと考えています。

03

知見を養い、リハビリを突き詰める

担当しているご利用者の中に、めまいに悩む方がいらっしゃいました。歩きたい、外出したい、というご希望なのに、めまいのせいで怖くて家から出られなくなってしまったのです。そうなると行動範囲も狭くなるし、心もどんどん落ち込んでしまいます。生活を守る、生きがいを作る、といったリハビリの意義が、まったく果たせなくなってしまっていたのです。めまいは痛みと同じく「あって仕方ないもの」と思われ、改善を諦められがちです。対処がなかなかできないことで、慢性化するケースも少なくありません。どうやって支援すべきか悩み、調べて見つけたのが「前庭リハビリ」でした。
教科書を読んだり、文献から学んだりしてみたのですが、最初はうまくいかないことが多く、手詰まり感がありました。そこで、「それなら学会で発表して、著名な先生方から直接話を聞こう!」と思い、「第1回 日本前庭理学療法研究会学術集会」での発表に踏み切ったのです。近年、医療の世界では「EBP(=エビデンスベーストプラクティス)」が叫ばれています。端的に言うと、根拠に基づいた医療ということです。同様に、「SDM(共同意思決定)」もまた必要性が訴えられていますが、そういった流れがまだまだ遅れているのが日本の現状です。
当社では、社内学術集会も年1回開催されますし、学術研究班がいて学会発表や研究のサポートもしてくれています。それらも活用しつつ、ご利用者の満足度を高めるリハビリを提供できるようになりたいと考えています。
今後はさらにリハビリを突き詰めていきたいと思っています。ご利用者のお悩みを解決できるように、世界的な知見を持ってアプローチをしていきたいです。そのような知見を深めるのは、研究職の方々ではなく、実際に現場でご利用者の悩みに向き合う私たちだと考えています。これからも、目の前のご利用者の生活と生きがいを守るために、日々精進していきます。

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